えぇ。
さっき出てったのに、また来るんだ?
何も注文せずに出たったくせに…またお店に来れるなんてすごい神経。
ちょっと睨むようにして見ていたら、
裏から戻ってきた高野くんが女の子に近付いていった。
「……1人?」
「あ…っ、はいっ」
「こちらへどうぞ」
明らかに怪しんでるのに、顔には出さない高野くん。
きっと色々言いたいことあるんだろうけど…店員の立場だから言えないんだろうな。
高野くんの言動がお店の評判に繋がるから…。
「ご注文はお決まりですか」
「今日は…勉強をしに来たんです」
「……そうですか。
ごゆっくりどうぞ」
また女の子は何も注文しない。
そして言った通り、カバンからノートを取り出して勉強している様子だった。
……そりゃあ、喫茶店で作業する人もいるけど…
何も注文せずに居座れないでしょ普通…。