次の週の土曜日。


お店に行くと、高野くんが迎えてくれて


またいつもと同じ席に案内された。



「ちょっと、ここ座っていい?」


「え、」



席に座ったら、


高野くんが、私の目の前に座った。



「えっ…仕事中に、いいの?」


「今休憩中だから」


「そ、そうなんだ…」



休憩時間なのに、私を席に案内してくれたんだ。



「……は?なにこれ」


「なにって、100円」


「……なんで?」


「休憩時間なのに私の案内してくれたから、
私から、バイト代…なーんて」


「んな数秒で100円も発生しないだろ」



高野くんの前に100円を出したら、『いらない』って突き返された。



そりゃそうか。


返された100円をしまうと、高野くんが「なぁ」と言って頬杖をついた。