それでもしっかり聞き取った様子の高野くんは、ボールペンを走らせた後
「ん、了解」
女の子の頭を、軽く撫でてから厨房の方へ歩いていった。
高野くんの、最後の声が優しかった。
あの女の子、ずっと俯いてたし涙声だったから、高野くんが怒ってるように聞こえてたんだと思う。
高野くんはそれを察して、最後に優しい声で言ったんだ。
……やっぱり、罪な男。
あんなの、ときめかないわけないじゃん。
……私も、頭ポンってされたい。
あの女の子が、羨ましい…。
ボーッとその女の子の方を眺めながら、さっきのシーンを思い出してると
「お待たせしました」
いきなり目の前に真矢さんがいて、思わずビクッとしてしまった。



