「……この前、まりなちゃんと来たとき…
お金落としてくれたら嬉しいって、言ってたから…」
「言ったけど、
もしそれで食えないって残されたら迷惑なんで。
自分が食べたいやつ頼んで」
あのうるさかった女の子は、まりなさんというのか。
『迷惑なんで』とか言いつつ、『自分が食べたいやつ選んで』って言うあたり、完全には突き放さない。
そういうところに、ちょっと期待してしまうんだよ。
高野くんからしたら、ただの友達にすることだとしても…
異性の友達全然いない自分には、それがすごく、ドキッとすることなんだよ。
今、高野くんの目の前にいる女の子も、例外じゃないんだよ。
高野くんの言葉に、女の子は涙ぐみながら
「ご、ごめんなさい…
シフォンケーキ、と、オレンジジュースを…」
小さな声で、そう言った。



