……あのうるさかった子は来てないけど、もう一人の子はお店に来てるんだよね。
てことは、彼女も高野くんと同じ学校?
じっとその子を見ていたら、
高野くんがその子に近づいていった。
「はい」
「注文、いいですか…」
喋るのが苦手なのか、高野くんと一切目を合わせてない女の子。
……うーん、私も人見知り発動しがちだけど、高野くんとは目を合わせられるよ。
じゃなきゃ、高野くんの目にうつんないもん。
見てほしいから、話すときは絶対に目を合わせるようにしてる。
「大盛りビーフシチュー…を」
「…食べれます?」
「あっ…ごめんなさい…」
「一番高いヤツ選んだだけ?
それともホントに食うやつ?どっち?」
高野くんが、ずっと俯いている女の子の顔を覗き込む。
女の子はそれでも、逃げるように視線をそらし、消えいりそうな声で『一番高いから…です…』って呟いた。



