……で。
山西さんの押しに負けて、高野くんのバイト先に行くことになりました。
……メイクしてもらっといて、断るのも申し訳ないし…。
ご飯食べて帰るだけだ。
今日は下心薄めで行くぞ。
「あ、いらっしゃい」
「こんにちは…」
「こんにちはー」
店内に入ったら、高野くんが声をかけてくれる。
高野くんは、私の隣でニコニコしながら挨拶してる山西さんを見た後、もう一度私に視線を戻した。
「2人…でいいの?」
「うん」
「じゃあこっちへどうぞ」
今日もまた、同じ席に案内される。
なんか、ここが特等席みたい…。
「ご注文はお決まりですか?」
「決まってる。
でもちょっとお話ししたいなー!」
「や、山西さん…!」
口ぶりからして、私の好きな人が目の前にいる高野くんだということは、おそらくバレている。
お願いだから、余計なことは言わないで〜〜。



