高野くんが離れた後、
手帳型のスマホケースについた小さな鏡で、自分の顔を見た。
……うーん…
ナチュラルメイクだから、そりゃ大袈裟には変わらないけど、
そこまで反応が薄いとなると、
もしかして似合ってない…?
由奈ちゃんや山西さんからは好評だったのにな。
見せれただけでもいいけど、やっぱりちょっと悲しくなって、はぁ…と小さくため息をついた。
そのまま、スマホをいじっていると、
お客さんが来て、高野くんが入り口の方へ歩いていった。
「こんにちは。
今日は1人っすか?」
「あー、後からもう1人。
2人席がいいな」
「じゃあこっちどうぞ」
私が座ってる席が入り口から近いから、高野くんの声が聞こえる。
お客さん、女の人っぽいけど…会話がすごく親しげだ。