「はぁ〜…」


「朝からため息。
なんかあった?」



朝の電車で、湊くんが私の顔を覗き込むようにして言った。



「ん〜。
美人に生まれたかったなぁって」


「なに急に。どしたの?」


「美人だったら、
モテたかなーって思って」


「三澤、モテたいの?」



モテたいかモテたくないかと言われたら、モテたいに決まってる。モテたくないって言う人いるんだろうか?



「……まぁ、モテたいはモテたいよね。
でも、顔はもうどうしようもないなー」



メイクしたって、元から可愛い人より可愛く見せるのは難しい。


ましてや高野くんはすっぴん見てるんだから意味ないよなー!



「世の中にはー、
顔がそんなに良くなくても、モテる人っているよ」


「……うん?」


「それはその人の努力次第だよな。
見た目を着飾るか、中身を磨くかはわからないけどさ。

どうしようもないって諦めてたら、変わんないよ」