素直になれない高野くんと素直になりたい私。




電車で高野くんと話せばよかった。


その流れで一緒に来たら、さらっと店内に入れたかもしれないのに。


でもここで帰ったら、またマヤさんのことで一日中モヤるんでしょ。


何か収穫がほしい。



いつ入ろうか迷っていると、


スタッフルームらしきところから、高野くんが出てきたのが見えた。



あ!


今入れば、高野くんが案内してくれるかな?


それなら今入るのがいいタイミング…!



カランコロン、と音を鳴らして扉を開けると、


高野くんがこっちに来てくれた。



「いらっしゃいませ…って、三澤?」


「あ、こ、こんにちは…っていうか、こんばんは?」


「うん、こんばんは。
一人?」


「あ、はい」


「こちらの席にどうぞ」