11.アイマイ me

「ちーっす」
 昼休みのざわざわする教室でも、それがだれの声だかわかる。
 慎吾(しんご)が入ってくると、そこから波のように教室中におしゃべりの輪が広がるから。
「よう、藤島(ふじしま)」「あら藤島くん。もうお昼、食べ終わったの?」
 ちがうクラスに平然と入ってくる慎吾はすぐにみんなに受け入れられた。
 あたしは――、無視すればいい。
 無視できなくなるのは涼子(りょうこ)のせいだ。