「ねえ明緒、お弁当食べおわったら、次の数学の練習問題、教えてぇ? 番号指しだと当てられちゃうぅ」
いいよ。
うなずくと、お弁当箱をそのままに娘たちがガタガタと立ち上がる。
「やだ。じゃ、あたしも! 近藤ちゃんから列指しきたら当たっちゃう」
「うわぁ、めずらしい。明緒がノート見せてくれるの?」
だれが見せるって?
「教えるだけだよ。ちゃんと自分で考えなきゃ、なんにもならないでしょ」
あきれて言い返しながら思っていた。
これはいつも、あたしが涼子に言っていたセリフ。
(はぁ……)
とたんに心配になる。
大丈夫なの、涼子。ちゃんと予習してきてる?
こっそり肩ごしにのぞいてみた涼子は、自分の席でひとり。
おはしにのせた小さなごはんのかたまりを口に運んでいた。
(はぁぁ……)
これでいいの? 涼子。
あたしはちっとも、よくないよ。
あたしは、もう二度と、思いだしたくなんかないのに。
仲間はずれにされて、どんなに悔しくて悲しかったか。
藤島の「ふ」が頭に浮かぶだけで、身体が震えるほどつらい思い出なのに。
いまの涼子を見ていると、思いださずにはいられない。
ひとりぼっち。
ひとりぼっち。
みんなのなかで、ひとりぼっち。
そんなのは、いやだ。
いいよ。
うなずくと、お弁当箱をそのままに娘たちがガタガタと立ち上がる。
「やだ。じゃ、あたしも! 近藤ちゃんから列指しきたら当たっちゃう」
「うわぁ、めずらしい。明緒がノート見せてくれるの?」
だれが見せるって?
「教えるだけだよ。ちゃんと自分で考えなきゃ、なんにもならないでしょ」
あきれて言い返しながら思っていた。
これはいつも、あたしが涼子に言っていたセリフ。
(はぁ……)
とたんに心配になる。
大丈夫なの、涼子。ちゃんと予習してきてる?
こっそり肩ごしにのぞいてみた涼子は、自分の席でひとり。
おはしにのせた小さなごはんのかたまりを口に運んでいた。
(はぁぁ……)
これでいいの? 涼子。
あたしはちっとも、よくないよ。
あたしは、もう二度と、思いだしたくなんかないのに。
仲間はずれにされて、どんなに悔しくて悲しかったか。
藤島の「ふ」が頭に浮かぶだけで、身体が震えるほどつらい思い出なのに。
いまの涼子を見ていると、思いださずにはいられない。
ひとりぼっち。
ひとりぼっち。
みんなのなかで、ひとりぼっち。
そんなのは、いやだ。



