もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

「それで? まさかその、原因がなんだったかも忘れたケンカのせいで、ほんとぉーに! あなたたちってば、4年間もお互いを無視しあってるっていうの?」
「――――いけない?」

 原因はケンカなんかじゃない。
 アイツの『だって明緒(あきお)、おまえ女だろ』のせいだけど。
 それだけはだれにも――涼子(りょうこ)にも――話したくない。
 あんなに悔しかったことを、そんなに簡単にクチにだせるもんか。

 思い出すのもいまいましい。
「はぁ……」涼子の長い、これみよがしのため息。
「しーんじられない。だって、あなたたち、小学校も中学校も、ずっと同じだっていうんでしょ? おうちだって近所で――。幼なじみなんでしょ?」
「だから?」
 きらいなやつは、きらい。
 別に最初からいないやつだと思えば不便もないよ。