あたしたちにも、サッカーやらせろぉ。
 いっしょに、やらせろぉ。
 (だけど――)
 グラウンドにはアイツがいる。
 「ふ…」と聞くだけで手がグゥになる藤島(ふじしま)が。

「やってらんないよな、もう」
 堂々と先生にサボリ宣言をして、手のなかのボールをボールかごのなかに投げつけた。
「ストラーイク」
 本当は自分もヒマをもてあましている先生も、気の抜けた声で言ってベンチに座りこむ。
 こういうときは、女の子だけっていうのは本当にたいくつだ。
 特に、身体を動かすことより、おしゃべりのほうが楽しい女の子の集団は、もう最悪。
 ボールがコートを1回行き来する間に、日が暮れそう。
 ああ、もう!
 やるなら、真面目にやれぇ――っ!
 特に、そこの、スーパー美人な姫オブ姫ちゃん!
 球拾い当番のふりで、実は最初からちっともやる気がないことは、この城ヶ根(しろがね)明緒(あきお)ザエモン、ちゃんとお見通しでござる…ってやつだぞ、涼子(りょうこ)