ふと浮かんだ考えに自分でムッカリ。
 いいことあるもんか、ばかやろう。
 自分で自分を不機嫌にしたあたしには気づかずに、
「ねえ、せめて……30点?」
 涼子(りょうこ)がシャンプーの匂いを振りまきながら、ゲームの続きを催促。
 しようがないから、あたしも審査員の目にもどる。

「15点。髪なんか染めちゃって……。茶髪って、絶対バカなんだから!」
「ひっどおーい。外見だけで決めちゃうの?」
「うん」
 今日は決めちゃうの。
「…………」涼子がなにか言いたげに、あたしを見る。
「あたしだって、髪の毛、茶色いもん」
 あっ!
「いいけどね。あたしなんて、いっつも明緒(あきお)に迷惑かけてる、おばかさんだから」
 あやややや。
「ちょっ…、待っ…」
 あわてるあたしの腕を涼子がつねる。
「ばーか。もうおそいよ」
「……ごめん」
 でも、でもね。
 女の子はちょっとくらい勉強が苦手だって、そんなのあたしは気にしない。
 だけど、男は許せないんだもん、しようがない。
 だって、あたしを仲間に入れてくれない“上級民族”なら、あたしより当然、なんでもじょうずにできなくちゃ許せないじゃない。