生理が始まって胸がふくらんで、身体が勝手に女の子になりはじめたら、だんだんあたしのいられる場所はへっていった。
 あたしは全然変わってないのに、あたしのいられる場所だけが変わっていった。
 あのころの屈辱(くつじょく)は忘れない。

『だって明緒(あきお)、おまえ女じゃん』

 たかが、おちんちんがあるかないか、そんなことでひとを区別して。
 あたしを仲間はずれにした、あの、藤島(ふじしま)のしうちは忘れない。

 外見だけで決めつけられて、あれもこれもできなくなるのなら、あたしは女の子なんかになりたくない!
 女の子なんて、つまらない。
 だからって、心底バカだと思っている男の子になりたいなんて、みじんも思わないけど。
 なにしろあいつらなんて――藤島 慎吾(しんご)なんて――最低だ。
 あたしは、なんでもできるのに。
 ちゃんといっしょにできるのに。