「な…んで、おまえが、謝るんだよ!」
いまは慎吾がつらいから。
慎吾はいつだって、先に謝ってくれたから。
「あたしもちゃんと友だちにもどったから。そんな顔…しないでよ」
所在なさげにたれていた慎吾の手に、ボールを押しつける。
「今日は、かっこよかったよ」
あたしが心から告げたお別れのあいさつに、慎吾がぷいっと横を向く。
わかってないな。
「勝ったとか負けたとか、そんなことじゃなくて。最後まであきらめなかった慎吾が、かっこよかったって、そう言ってんの! 素直に聞けば?」
「…………」
それでも黙っている慎吾に、
「じゃ…」
小さく手を振って、さよならをする。
またひとつ積みあがった思い出を、あたしはもう倒さない。
倒したくないから。
いまは慎吾がつらいから。
慎吾はいつだって、先に謝ってくれたから。
「あたしもちゃんと友だちにもどったから。そんな顔…しないでよ」
所在なさげにたれていた慎吾の手に、ボールを押しつける。
「今日は、かっこよかったよ」
あたしが心から告げたお別れのあいさつに、慎吾がぷいっと横を向く。
わかってないな。
「勝ったとか負けたとか、そんなことじゃなくて。最後まであきらめなかった慎吾が、かっこよかったって、そう言ってんの! 素直に聞けば?」
「…………」
それでも黙っている慎吾に、
「じゃ…」
小さく手を振って、さよならをする。
またひとつ積みあがった思い出を、あたしはもう倒さない。
倒したくないから。



