もういちど初めからー塩キャラメルとビターチョコー

 友だちなんか、いらないって思うほど。
 もう一生ひとりでいいって思うほど。
 ……つらかった。

明緒(あきお)……」
 慎吾(しんご)がすぐうしろに立ったのがわかる。
 離れているのに。
 どこもふれていないのに。
 背中が…温かい。

「おれ……」
 言葉を探して声をつまらせた慎吾に、助け船を出すわけじゃなく。
「もっと早く、そう言えば…よかった」
 あたしはつぶやいていた。

 ひとりで怒ったり、泣いたりするまえに、もっと、ちゃんと。
 言えばよかった。

「そしたらきっと、友だちで、いられた…よ、ね」
 ねっ?
 確かめるように、ゆっくり振り向いて。
 唇をかんでいる慎吾と、真正面から見つめあう。
 あたしは笑ってみせたのに。
 慎吾はぎゅっと唇を引きしめて、まつげをふるふると揺らしてあたしを見ていた。
「ごめんね」