「涼子もかわいいよ。…あ、いつもか」
それで返礼のようになってしまったけど、お世辞じゃない、本心だ。
ざっくりした白い編みこみカーディガンの下は青系の花柄ワンピース。
歩くことも考慮してくれたのか、足元はピンクのスニーカーで、あたしや母さんにはとても思いつけない組み合わせは姫オブ姫の名に恥じない美少女っぷり。本当にかわいい。
「うふ。明緒がお世辞、言ってるぅ」
「ほんとだし」
音がどんどん近づいてきて。
緊張を隠せなくなりそうなので、たわいない話がありがたい。
「明緒は青、好きだし。青で勝負してきたのよ。――ばっちりだった」
はずむような1歩、1歩。
涼子は素直だ。
喜んでくれているのが全身から伝わってくる。
(だから――…)
いつか――。
いつか慎吾の目が、ちゃんと涼子を見ますように。
心からそう…思ってるよ。



