「あ…んた、ねえ……」
今夜ひと晩じっとしていれば、あたしはきっと自分で認めたのに。
イライラの原因。
本当はちゃんとわかってたから――。
「どこも痛くねぇ? マジ大丈夫だったか?」
「――――――――ぅん」
気まずいことが隠せないほどおくれた返事に、ちろっと見上げた自転車のうえの顔は笑っていた。
「よかった。子分はもう親分が心配で心配で」
「ちゃかさないでっ」
きびすを返した腕をやんわりとつかまれる。
「しーっ」
人差し指を唇に当てた慎吾が自転車からひらりと降りて歩き出す。
目が呼んでいた、あたしを。
おとなしくついていった理由はわからない。
慎吾もなにも言わない。
黙って自転車を引いて歩く慎吾の、闇にまぎれる黒いスニーカーの底の、白いゴムだけを見つめて、ぽてぽてとついていく。
今夜ひと晩じっとしていれば、あたしはきっと自分で認めたのに。
イライラの原因。
本当はちゃんとわかってたから――。
「どこも痛くねぇ? マジ大丈夫だったか?」
「――――――――ぅん」
気まずいことが隠せないほどおくれた返事に、ちろっと見上げた自転車のうえの顔は笑っていた。
「よかった。子分はもう親分が心配で心配で」
「ちゃかさないでっ」
きびすを返した腕をやんわりとつかまれる。
「しーっ」
人差し指を唇に当てた慎吾が自転車からひらりと降りて歩き出す。
目が呼んでいた、あたしを。
おとなしくついていった理由はわからない。
慎吾もなにも言わない。
黙って自転車を引いて歩く慎吾の、闇にまぎれる黒いスニーカーの底の、白いゴムだけを見つめて、ぽてぽてとついていく。



