「おい」
数日ぶりに聞く、低い声。
思わずつられるように、振り向いた。
「お父さん……」
「勝手にこんなところで何してる」
「これから、家に帰るの」
「家に帰る? 散々迷惑をかけて、今更どの面下げてる」
「言っておくけど、お父さんもいる家じゃないからね。他に住む家があるから」
「他に住む家……だと?」
「そうだよ。だから、お父さんのところには帰らないから!」
「お前……お前が食ってきた食い物も、学校に行くための学費も、誰のおかげであったと思ってる!」
なんだか、だんだん聞くのが嫌になってきた。
……口開けば、お金の話ばっかり! しかも、都合のいい時に。
「わたしに出て行けって言ったのは、お父さんでしょう?」
お父さんの眉毛がピクピクと動く。
「邪魔なんでしょう?」
「あんた、珠華の親父さんか」



