「ねぇ、希空ちゃん、早くオレの名前を呼んでよ。オレ、待ちくたびれちゃった」
真宙くんは、相変わらず悪い笑みを浮かべながらそう言った。
き……きぃぃーっ‼
なによっ‼ 本当は聞こえていたくせにっ‼
真宙くんのイジワルっ‼
もうっ‼
もう、いいっ‼
もう、こうなったら真宙くんの名前を呼んでやる‼
こうなったら……っ‼
こうなったら……っ。
こうなったら……。
…………。
……やっぱり……。
やっぱり無理かも……。
真宙くんに直接、真宙くんの名前を呼ぶことは……。
だって……だって、やっぱり本人に直接、名前で呼ぶなんて恥ずかし過ぎる~っ‼
いくら真宙くんが私に背を向けていても、本人に直接、名前を呼ぶことには変わらないから。



