「なぁに、希空ちゃん」 ま……真宙くーんっ。 ちゃんと聞こえていてほしかった。 せっかく、せっかく呼んだのにぃ~っ‼ あぁぁ~っ。 …………。 ……でも。 聞こえていなかったのなら仕方がない。 もう一度、もう一度、呼ぶしかない。 だから。 「……真宙……くん……」 もう一度、頑張って呼んでみた。 今度は、さっきよりも大きめの声で呼んだはず。 この声の大きさなら、今度こそ、きっと真宙くんに聞こえたと思う。 ……はずなのに。