「希空ちゃん?」
「……‼」
「どうしたの?」
「う……ううん、なんでもない」
本当は、なんでもなくはないのだけど……。
「なんでもないならいいんだけど。でも、さっきも言ったけど、もし何か悩み事とかあるのなら、いつでもオレに相談してよ。話くらいしか聞けないかもしれないけど、話すことによって少しは気が軽くなるかもしれないから」
ありがとう……。
本当に優しいな……ま……ま……真宙……くんは……。
……って。
な……なんで、心の中で名前を言っただけで、こんなにも言葉を詰まらせているのっ⁉
これじゃあ、本人に言うときは、もっと大変なことになってしまうじゃないっ‼
「ありがとう」
とりあえず、名前を言わずにお礼を言った。
のだけど。
「ねぇ、希空ちゃん」
「うん?」
「オレ、まだ聞いてない」
え……。



