「……ま……真宙……」


 やった、言えた……‼


「希空……」


 聞こえた、よねっ? 真宙くん。


「……言って」


 えっ?


「もっと言って希空っ‼」


 えっ、えぇっ⁉

 まっ……真宙くんっ⁉

 真宙くんはそう言うと、私から離れて私のことをじっと見つめた。


「ねぇ、言ってよ希空」


 まだ言ってくる真宙くん。


「もっ……もう言えないっ」


 一度呼んだだけで十分っ‼

 というか、真宙くん、一度だけって言ったじゃないっ‼


「えぇぇ~、なんで~」


『なんで~』って言われてもっ。

 もっ……もう勘弁して~っ、真宙くんっ。

 私は『お願いだから勘弁して~』という気持ちを込めて真宙くんのことを見た。


「って、しょうがないなぁ、今日のところは勘弁してあげる」


 えっ⁉

 今日のところはっ⁉

 ということは、また要求してくるのっ⁉

 まっ……真宙くんっ。

 どうか、お手柔らかに……っ。