「ねぇ」 ……‼ 青野くんに声をかけられて私は我に返った。 「君の名前はなんていうの?」 青野くんにそう訊かれて私は、はっとした。 そうだ、まだ私、自分の名前を言っていなかった。 「あっ、えっと、私は、麻倉希空。こちらこそよろしくね」 私は少し慌てるように自分の名前を青野くんに伝えた。 つもりだったのに。