「ねぇ、希空ちゃん、なんでオレから逃げるの」
真宙くん……。
真宙くんの表情がいつもと違っていた。
今の真宙くんは険しい表情をしていた。
でも、その中に、どこか悲し気な、そんなふうにも見えた。
「希空ちゃん、何か言ってよ」
そう言った真宙くんは、一歩また一歩と私の方に近づいた。
真宙くんが一歩また一歩と近づくにつれ、私はその逆に一歩また一歩と後ろへ下がっていく。
「なんで……希空ちゃん……」
真宙くんの表情が変化していく。
険しい表情よりも悲し気な表情の方が強くなってきた。
ごめん、本当にごめんね、真宙くん。
こういう態度をしているからといって、真宙くんのことを嫌いになったわけではないの。
嫌いになるどころか、私は真宙くんのことを……。



