「ところで、どうして信号が赤だったのに車道に出たの?」 その男の子は不思議そうにそう訊いた。 「あ……えっと……ちょっと考え事してて……」 私は、そう返答するしかなかった。 まさか『学校に行きたくないということで頭の中がいっぱいになっていた』なんて、今話したばかりの人に言えるわけがない。