妖の木漏れ日カフェ 人間界編


「その場所って知ってる?」
「ええと……あの、聖川公園の近くよ、確か」

 聖川公園の近く……。

 あの辺りは閑静な住宅街だったけれど……カフェが出来たならすぐに見つけることが出来そう。

 まだ自分の中の考えが確定したわけでもないのに、気持ちは高揚していた。



 朝食を食べ終えて、着替えをして早速そのカフェを見つけに行くために家を出た。

 うん、春の匂いがする。桜が咲いていて街がピンクに染められていて、冬の鋭い匂いが消えて植物の匂いがする。

 空を見ると、雲がひとつもない快晴で、桜のピンク色と空の水色の対比が美しいと思った。

 この前までの肌に突き刺さるような寒さは通り過ぎ、太陽が街を照らして穏やかな空気が流れている。

 そんな春を感じながら、聖川公園まで寄り道をすることなく来た。

「えっと……」

 辺りを見渡すけれど、カフェのような雰囲気の建物はなく、見えるのは住宅だけ。

 それはいつもの景色と変わらず、どこだろう、と思いながら公園の周囲をうろつくこと5分ほど、住宅街にひっそりとたたずむそれらしき建物が見えて来た。

 多分、あれかな? ていうか……。あの見た目は……。