「吹雪がこんな状態なんだから断れよ。なぁ、肇遙」


「それができたらやってますよ」


「あ、わ、私は大丈夫です」



でも漣さんのお父さんってことは、漣組の組長ってことだよね……?


そんなすごい人とこれから対面するとなると、緊張して手が震えてくる。



「……そうか?」



少し残念そうに言う漣さん。骨折をしていない方の手を床に付けて、立ち上がった。



「ゆっくりでいいからな、吹雪」


「そうだぞ、雪ちゃん。本当は安静にしてなくちゃいけないんだ。まったく……、宏司の野郎は……」


「あ、ありがとうございます……」



なんのために呼ばれたのか、やっぱりここから出て行けとか言われるのかな。いろんな不安が渦巻くなか、漣さん、新城さん、シンちゃんと一緒に部屋を出て長い廊下を歩く。


地面を踏むたびに伝わる少しの振動ですら骨折に響いて痛む。



「え、わっ……!」


「痛いなら我慢するな」



そんな私に気づいたのか、漣さんが私を抱き上げた。初めて、いわゆるお姫様抱っこというものをされて一気に羞恥心が湧き上がってくる。



「紅蓮、落とすなよ。絶対」


「落とすわけがないだろ」


「紅蓮……、きっとこれをアイツらが見たら失神するとおもうよ。俺も失神したいくらいだもん」