車に戻ると、肇遙は俺と吹雪を見てあんぐりと口を開けていた。
「ちょ、は?え、誰!?」
はっとしたように慌てる肇遙だが、吹雪の顔が見えたのか、僅かに頬を染めて「かわい……」と呟いた。
「出せ」
それにキッと睨んだ後短く指示をする。納得いかなさそうな顔をしながらも車を発車させた。
自分の家に連れて帰ろうと一瞬考えたが、流石にそれはやめた方がいいと思い直し、実家に車を向かわせる。
俺も肇遙も、先ほどとは違って何も喋らない車内で、小さく吹雪の寝息が響いていた。
冷たい身体を温めるように、なるべく優しく丁寧に抱き寄せる。
吹雪を知る前は、女なんてと思っていた俺だ。関わることなんて性欲処理くらいしかなくて、関わり方がよくわからなかった。
乱暴に扱ったら折れてしまいそうなほど細い身体。別に呼吸をしていないわけでもないのに、なんとも言えない不安と恐怖が俺の中を渦巻いた。


