肇遙の運転する車が、公園の前を通ったとき目に映ったのはベンチの上に横たわっている吹雪の姿だった。



 もうそろそろ冬か来るというのに、中学校の制服から投げ出された綺麗な脚。



 車を止めろと指示すれば急停車して、外に出た俺は走り出していた。




 「吹雪、……」





 しゃがみこんで、そっと。起きないように親指で優しく頬を撫でた。





 愛おしいという感情が溢れ出すより先に、その頬が赤みを帯びていることに気がつく。




 身体全体が、氷のように冷えていて何時間ここにいたのかと心配になった。




 もしかして……。





 吹雪の全てを調べた俺だ。勿論吹雪の家族が上手くいっていないことくらい知っている。




 両親は日々喧嘩が絶えない。それは、吹雪の母親の嫉妬と我が儘が原因だった。





 追い出されたのかよ?




 誘拐犯だとか、そういうことは全く頭になくて。俺は吹雪の膝裏に手を当て持ち上げた。




 初めて吹雪に触れられたことに歓喜すると同時に、体重が軽すぎることに不安を感じた。