「ところで、雪ちゃん。この腕、誰にやられたのかな……?」




 優しそうな笑顔とは裏腹に、声は低く怒っているのだとわかった。




 「あ、えっと……」




 お母さんです。その言葉がどうしても出てこなかった。だってなんか、可哀想な目で見られるのが嫌で、私は思わず嘘をついた。




 「ちょっと、転んじゃって、」


 「……そっか」




 納得してなさそうなシンちゃんを安心させようと、無理矢理口角を上げて笑った。




 「吹雪、」




 誰かが、ゴクリと唾を飲み飲む音が届いた。私の名前を読んだ漣さんが、悲しそうに眉を下げている。それは、漣さんだけではなく、シンちゃんと、新城さんも同様だった。



 ……上手く、笑えてなかったかな?



 首を傾げると、漣さんが私の頭に手を乗せて微笑む。



 「別に、俺らは吹雪が迷惑だとも思ってないからな。好きなだけ居ろ。なんなら、死ぬまで居たっていい」



 その優しさに、涙が溢れそうになった。その暖かさに、縋りそうになってしまった。



 「ありがとうございます、」



 そう言うのが精一杯だった。