お姉さんは顔色も変えずに、まだ私に抱きついている爽介さんに向かって話しかけた。
しかも、爽介さんもキリッと声を切り替えて返事をしている。
ーーえっ?この状況がおかしいと思っているのは私だけ?
後ろから抱きつかれているのを見て、何も思っていないの?動揺しているのは、私しかいないの?
誰も何も言わないから、私がおかしいのかと錯覚してしまう。
「あ、あの、爽介さん......これ」
とりあえず離れてもらおうと、私は目当てである封筒を差し出した。
「合ってますか?」
思惑通りに離れてくれた爽介さんは、封筒を受け取って中身をその場で確認する。
「うん。これだよ。ほんとに助かった」
合っていてよかった。
ホッとしたような顔をした爽介さんを見てそう思う。
確かに、整理された部屋で封筒はこれしか無かったから、間違えようが無いだろうけれど、違ってたらダッシュで戻って探すところだった。
「それはそうと、ここまで迷わなかった?」



