身支度は軽く......とは言っても、高級感な場所に場違いにならないよう、爽介さんが用意してくれた服に着替えただけだ。
ガッツリメイクをする時間はなさそうなので、軽く整えるだけにしておいた。
準備時間、計10分。
我ながら最速だと思う。
マンションを出て、すぐ隣の病院。
こんなに近くの職場なんて、なんていい場所なのだろう。
きっと、いつ呼び出されてもすぐに行けるように、ここに住んでいるのかもしれない。
なんて、考えながら正面入り口の自動ドアをくぐった。
中に入った瞬間、ツンとした消毒の匂いが鼻を刺激する。やっぱり、慣れない。
そう感じながら、私は受付の人に声をかけるため一歩を踏み出した。
「あれ?湊先生の奥様ですよね?」
すみませんと声をかけようとしたのに、向こうから声をかけられてしまった。
しかも、何故か覚えられている。
もしかしたら、昨日挨拶した人なのかもしれない。



