呼ばれた人から手を挙げていて、彼女も当然のようにその場所に居た。
本当に出るんだ。
治っているのか、どんな状態なのか、笑顔で手を振っている本人よりも、僕の方がドキドキしている気がする。
そんな僕の心配を知らないまま、スタートの合図が鳴った。
パーンっと乾いた音がなり、選手たちはいっせいに走り出す。
僕はあの子から目が離せなかった。
「がんばれ......」
怪我なんてしていなかったかのような、走りっぷりに目を奪われる。
風を切って走るその姿は、真剣な表情をしているけれど、どこか楽しそうだった。
本当に、走るのが好きなんだと伝わってくるくらいに。
走りきるのを見てから、僕はゴールに1番近い所まで降りる。
競技場には降りられないけれど、ここからでも声はかけられるから......。
その後の走者も走り終わってから、その競技の出場者は、自分の学校のところに戻るため解散となった。



