自分の仕事プラス、勉強、雑用ーー、楽しさなんて感じない日常。
それはこの子も同じはずだ。入院生活で毎日リハビリしかないのだから。
「大会には間に合わないんでしょ?なのにどうして......」
担当医からも、治るのがいつになるのかは聞いているはず。
なのに、嫌にならずに全力で頑張れるのはどうしてなのだろうか。
「走るのが好きだから。間に合わないと言われてても、もしかしたら私の頑張り次第では間に合うかもしれないでしょ?」
どこまでも前向きな返事で、僕よりも年下なのにすごいと思う。
どうしたら、そんなふうに考えられるのだろうか。
周囲のプレッシャーを押しのけて、前向きでいられるのなら、どんなにいいだろう。
僕には無理だ。
そう思っていたら、その子が僕の顔を覗き込むように言った。
「先生若いのに悩み多そう。せっかくかっこいいのに台無しな顔になってるよ?ちゃんと寝てる?
きっと、そんな顔してるから余計に嫌になるんだよ」



