視線の先には、2本のバーをつかみながら歩行訓練している女の子が居た。
たぶん、高校生くらいだろう。
右足を怪我したらしく、サポーターをはめたまま、腕をプルプルさせて1歩ずつ足を引きずりながら歩く練習をしていた。
「事故で複雑骨折と靭帯損傷。車に引かれそうになった子を助けたんだって」
落ちる汗を拭いもせず、ひたすらリハビリをし続ける姿を見ながら言う。
「部活で陸上をやっているんだけど、今は高校2年生。3ヶ月後に高校最後の大会があるんだ。さすがにこの怪我じゃ、どんなに頑張っても選手として出られるほど回復はしないだろう?」
今は3月。リハビリをしていたとしても、高校最後の大会は5月頃から始まるから、その大会にでるのは難しいはずだ。
「それでも、あの子は諦めずに間に合うかもしれないと頑張っているんだ」
たった1年で逃げ出そうとしている僕には、そんな絶望的な状況で、どうして頑張れるのか理解ができない。



