「何かあったら頼ってね。こいつとは幼なじみだからよく知ってるんだ」
そう言って、爽介さんを指さしている。
幼なじみーー。仲がいいのだろうけれど、今の雰囲気は、腐れ縁みたいな関係に見える。
その後名刺を渡されて、私は男の名前を知る。
“村本 圭(むらもと けい)”さっき、爽介さんが言ったのは、この人の名前だったのだと、この時初めて気づいた。
連絡先の横には、手書きのメッセージが付け加えられていた。
<昔の爽介の事なら何でも教えるよ。いつでも連絡して>
そう、走り書きされていた。
私は名刺から顔を上げてもう一度、男......村本さんの顔を見る。
私と目が合うと、村本さんは、イタズラをするような顔で笑っていた。
口を開こうとした時、ナースステーション内にある内線が音を立てた。その途端、にこやかに挨拶をしていた人たちの顔が、一気にキリッとなりテキパキと仕事に戻っていく。
「ごめん、急患だからもう行くね。いつでもいいから」



