何も言わないけれど、聞こうとしてくれているのは分かるので、続きを口に出す。
「私がきちんと見ないで名前を書いてしまったせいでもあるので、今更やっぱり無理ですとは言いません。ーー仕事は欲しいですし。今すぐに離婚して欲しいとも言わないです」
「......!」
離婚しないと言った私に対して、爽介さんはほっとした様に息を吐いた。
私が知らなかったとはいえ、さっさと婚姻届を出してしまったことに、罪悪感があったのかもしれない。
私の想像だから、本当にそうなのかは分からないけれど、嬉しそうになったことに違いはなかった。
「だから、仕事はきちんとします。家事全般......もちろん、ご飯も3食作ります。でも、いきなり夫婦として接するのは難しいです」
私は遠回しに、籍はそのままだけど、夫婦としては暮らせないと言う。
あくまでも、雇い主と従業員として接するのだ。なのにーー。



