綺麗に整頓されていて、掃除も行き届いている感じはするけれど、整いすぎていて、本当にここで生活していたのか疑いたくなるくらいだ。
カウンターキッチンなんて、オシャレなのに飾りっけもなく、必要最低限のものしか置いていない気がする。
リビング内を一通りみて回っている時、爽介さんの携帯の着信が鳴った。
「ちょっとごめん」
そう、私に断ってから電話に出た。
二言くらい話した後、戻ります。と淡々と言った爽介さんは仕事の顔になっていた。
思わず、さっきとは違う雰囲気で見つめてしまう。
「ごめん、呼び出されちゃったから行くね。好きなようになんでも使って。19時には帰ってくると思うから、何かあればここに電話ちょうだい?」
本当に、緊急の呼び出しなのだろう。
余裕がなさそうにそう言って、番号をメモした紙を私に渡して、慌ただしく出ていった。
1人になった途端、一気にシーンとなる室内はどこか冷たく感じる。