王子系ドクターと溺愛新婚生活〜家政婦ですが結婚するなんて聞いてない!〜



ふぅーっとひと息吐いた爽介さんは、ジャケットの右ポケットに手を入れた。



「これ、見たことない?」



そう言って、ポケットから出されたのは、少し日焼けしてしまっている、ひまわり柄のシュシュ。


ーーみたことある。むしろ、忘れられない。



「私があげたやつ......」



でも、あの時の先生はこんな高級都市では無く、庶民の私でも通える所の病院だったはず。



「大学を卒業してから直ぐには、ここに居なかったんだ。
父親があの人だから、違うところで勉強したかったっていうのもあったんだけど。まぁ、それは理由で、逃げたかったのが本音かな......」



もさっとして、患者を元気にする立場の先生なのに、患者の私に対して、ものすごく暗い感じで話しかけてきたから、覚えている。


何かを悩んでいたのは感じ取ったけれど、何も出来ない私は、少しでも元気になったらいいなと思って、モサモサの前髪をたまたま持っていたあのシュシュで結んであげたのだ。