その衝動を抑えながら、私は平然を装っているふりをする。
案内してくれた店員さんにエスコートされて、席についた。
「葵、なにか食べたいのある?」
ここに来て、やっと前までの爽介さんの言葉が聞けた。しかも、名前も呼んでくれた。
その事に、嬉しくなりながらも渡されたメニューを覗いて見る。
ーーうん、何が書いてあるか分からない。
英語で書いてあるし、読めても高級な名前過ぎて、料理がどんなものかも想像できない。
だからーー。
「爽介さんと同じのでお願いします」
「分かった。じゃあこのコースで」
「かしこまりました」
パパッとメニューを決めた爽介さんは、直ぐに注文をして、店員さんを下がらせた。
しかも、単品ではなくコースとは……。
メニューに値段も書いていなかったし、高級なお店なのは間違い無さそうだ。
それに慣れている爽介さんもすごいけれど……。
店員さんが居なくなったことで、2人っきりになってしまった。



