ご飯って言っていたから、あのバーではないと思うけれど、あのビルにご飯が食べられるお店が入っているのだろうか?


私は、何となく爽介さんの隣に並ぶことが出来なくて、後ろを無言でついて歩いた。


後ろにいるのに、私が普通に歩くペースに合わせてくれているのがわかる。

そんな、さり気ない気遣いをされて、さらに好きの気持ちが募っていく。


原因は私だとしても、1度は離婚するって言った爽介さんが、私のペースに合わせてくれている、という事を今知ることが出来てよかった。


どんな結果でも、私はちゃんと伝えよう。

そう気持ちを、更に固めることが出来た。


お互いに何も言わずに歩くこと数分ーー。

着いた先はやっぱり、あのオフィスビルだった。


だけどバーがあるのは15階……。今エレベーターに乗って、爽介さんがボタンを押したのは17階だった。

つまり、行先はあのバーでは無い。そして、このビルの最上階……。


絶対、高級なお店だ。