帰ってきて直ぐにそう聞かれて、思わずギクッとする。

だけど、いきなりここで言う勇気もない。


自分の気持ちを話してもいないのに、村本さんに相談に乗ってもらっていたなんて、さらに言えない。

そんなことを言ったら、どうしてなのかも説明しなきゃいけなくなる。



「き、今日はお風呂掃除と洗濯を……あ、夜ご飯はシチューですよ」


「ふーん、そっか。僕シチュー好きだよ」



聞いたくせに、大して興味無いと言うように素っ気なく言いながら、シチューは好きと笑顔で言う。


そんな笑顔反則だ。

胸きゅんしてしまうじゃないか。

でも、時間が無いから簡単にできるものにしたけれど、シチューを作ってよかったと思う。



「すぐできるので、座っててください」


「はーい。とりあえず、着替えてくるね」



リビングを出て、部屋に向かった爽介さん。

少し距離が離れてから、私はずっと心臓がドキドキしていたことに気がついた。

胸に手を当てて、落ち着かせるようにそっと息を吐く。