すぐ出ますと湯船から立ち上がろうとした時、グルっと視界が回転して、私は立ち上がる前にお湯の中に水しぶきを上げながら逆戻りした。
ーーやってしまった。
目の前がぐるぐる回っている。
耐えられなくなり、目をつぶる。
身体が重く、立ち上がるための力を入れることが出来ない。
だけど頭は冷静だった。
どうやら私は、のぼせてしまったらしい。
どれだけ長風呂してしまったのだろうか。
少しだけのつもりだったのに、お風呂で考え事を初めてしまったのが悪い。
「葵!?今の音何?」
大丈夫です。そう言いたいのに、口が動かない。
「ごめんね、開けるよ?」
答えのない私に、爽介さんは焦ったようにそう言って、中に入ってきたのが気配でわかった。
「葵っ!」
その声に、少しだけ目を開ける。
心配かけてしまった......。
だけど、言うことの効かない身体は、ぐったりとしたまま動かすことが出来ない。



