案の定、朝の3年生がいた。
「よぉ、やっと来たか。」
「...。」
「おい、ここまで来て怖くなったか。お前も
所詮(しょせん)は女だな。」
ブチッ。短気な私はすぐにキレた。
「うるせぇなぁ。わざわざ呼び出しといて
なんだよ。なんもねぇなら帰る。」
私がそう言って出ていこうとすると、腕を掴まれた。
「離せよ。」
「離すわけねぇだろ。朝はよくもこの俺に蹴りを入れてくれたな。」
「この俺にって...って言うかお前誰だよ。」
「はっ!この俺の名前を知らないのか。」
「知るわけねぇだろ。年下にお金を貰おうとする最低男の名前なんか。」
「俺は新谷悠来(ゆうき)この辺りで強いって有名なんだぞ。」
「は?この私に1発蹴られたぐらいで逃げたやつが強い?笑わせんなよ。っていうか私の貴重な
休み時間をこんな男と過ごしたくないんだけど」
「おい。そんな言い方していいのか。どうせ
お前の朝の蹴りはまぐれだろ。」
「はっ。言ってくれるね。」
だいぶイラついたので、目にも止まらぬ速さで
新谷の背後に回り、耳元でささやいた。
「どうする。このまま私にもう一度蹴られて
保健室行く?」
「くっ...。」
新谷は悩んだ挙句、こう答えた。
「...参った。」
「分かってくれたらいいんだよぉ( ˉ ˘ ˉ )」
と、もう怒りはおさまったので優しい口調で
話す。
「お前は一体誰だ。まるで人が変わって
いるようだ。怖かったり優しかったり。」
新谷も、この性格を不思議に思うようだ。
私はちゃんと説明した。
「―――ということなの。」
「はぇ~。そんなひともいるんだな。」
「私に降参したってことは、もう悪さしないこと。あと、今日から私の友達ね。」
「はぁ?誰がお前なんかと...」
「私に逆らう気?」
「なんでもないです。」
「よしっ決まり。...うわっ休み時間あと5分しかない。急いで帰ろ。」
こうして、何か起きるわけでもなく、あっさりと
解決したのだった...。