誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします



そんな……謝ることじゃないのに。

私の母は、カラーの花のように凛とした女性だった。
どんな逆境にも負けない強さと、人を思いやりがある優しさがあった。
律さんのお父さんと別れた後は、誰とも交際せず。
自分の幸せよりも、娘の幸せを願っているような人だった。


「母が亡くなったのは、4年前で……」

「うん」

「母が昔から”頭が痛い”ってよく言っていたんです。でも、ただの偏頭痛だから大丈夫だって。私もいつものことだと思っていたんですけど、ある日、倒れてしまって。脳梗塞でした」

「驚いただろう」

「はい。よく言うじゃないですか。ハンマーで頭を叩かれたような衝撃って。まさにそれでした」


就職して、一通りの仕事ができるようになって。
これから親孝行しようと思っていた矢先だった。
苦労をかけた分、いっぱい楽をさせてあげようと思っていたのに……。


「手術を受けて、一時は快方に向かいました。でも、1年後再発して、しまって」


当時のことを思い出すと、今でも胸が痛くなる。
言葉に詰まった私を励ますように、律さんは手を握ってくれた。
大きくて、温かい手……。


「俺が覚えている零さんは、着物姿で料理を作っている姿だ」

「お店ですね」

「あぁ、だから洋服姿で会った時は一瞬分からなかった」