誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします



優しい声のトーン。
そのまま律さんに腕を取られて、ソファーに座らされた。


「冷蔵庫に牛乳は、あるか?」

「……? ありますけど」

「ちょっと待ってろ」

「あ、あの、」

「いいから座れ」


ソファから立ち上がろうとした私を手を制した律さんは、食器棚からマグカップを2つ取り出した。
それから牛乳を入れた鍋を、ガスコンロの上に置く。
私はその姿をぼんやりと眺めながら、律さんは本当に何でもできるんだなぁと思った。
何気ない仕草が、すごく絵になる。


「ほら」

「ホットミルク……」

「昔、好きだっただろ」

「今も好きです」


落ち込んだ時、悲しかった時、泣いてしまった後は、必ずホットミルクを飲んでいた。
そんなことも覚えていてくれたの……?


「美味しい……」

「火傷するなよ」

「もう子供じゃないですよ」

「どうだか」


ふっと小さく笑った律さんは、私の隣に腰を下ろした。
肩と肩が触れるほどの距離で、鼓動が早くなる。

(どうしよう、気付かれちゃう)

胸のドキドキを鎮めようと、もう1口ホットミルクを飲もうとした瞬間、


「……熱っ」

「だから言っただろ」

「(誰のせいだと!)」

「見せてみろ」