誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします



ふと、時計を見ると深夜2時を回っていた。
病院の面会時間は21時までだから、その後、会社に戻って仕事をして来たのだろう。
有難さと申し訳なさでいっぱいになっていると。
律さんは上着を脱ぎながら唐突に、こう呟いた。


「腹減った」

「もしかして、お夕食まだでしたか?」

「いや、食べた。けど、腹減った」


律さんがこんな風に言うのは、珍しい。
気を遣ってくれているのかな?


「何かお作りしましょうか?」

「あぁ、頼む」


頷いた瞬間、私のお腹も盛大な音を立てた。
そういえば、お昼に果歩と食事をしてから何も食べていない。
自然現象とはいえ、タイミングの良さに恥ずかしく思いながら、作り置きしてあった鶏団子と白菜、しめじ、長ネギを出して具沢山スープを作ることにした。
片栗粉でとろみをつけて、生姜も刻んで入れて、簡単ヘルシーだけど体が温まる一品。
昔、風邪を引いた時にハナちゃんが作ってくれた思い出の料理だ。


「お口に合いますか?」

「あぁ」

「良かった」

「百花が作った料理で口に合わなかったものはない」


今、こんな時に、そんな事を、言いますか。
返す言葉を失った私を他所に、さっさと完食した律さんはキッチンで洗い物を始めた。


「あ、それは私が……」

「いいから、早く食べろ」

「はい……」

「終わったか?」

「は、はい」


慌てて食べ終えた食器をキッチンに持っていく。
律さんはそれを受け取り、シンクに置いた。


「これはあとでいいだろ」

「えぇ、まぁ……あの、」

「こっちにおいで」