誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします



「とにかく今日は、家に帰って寝ろ。ハナさんの付き添いは俺がするから」

「でも、律さん、仕事は?」

「どうにでもなるから、気にするな」


そんなこと言って、本当は大変なくせに。
私が負担に感じないようにしてくれるんだね。
そこまで言ってくれる律さんの好意を無駄にすることができない私は、彼の言う通り家に帰って休むことにした。




律さんは、いつも冷静だ。
冷静に現状できることを分析して、打開策を見つけてくれる。
昼間に彼から電話を受けた後も――――……。


『百花、車の鍵ってどこにあるの?』

『車の鍵って、律さんの? 多分……そこの棚にあると思うけど』


律さんは、あの時、家にいた果歩に車の運転を頼んだらしい。
普段はあまり乗ることがなく、地下駐車場に置いてあるBMW。
乗りたかったら乗っても良いと言われていたけど、運転があまり得意じゃない私はその存在すら忘れていた。


『病院まで送る、いこ』

『果歩が運転するの?』

『百花はペーパーだし、動揺してるはずだから代わりに頼むって』

『果歩にそんなことを頼むなんて……』

『もう、ほんっと馬鹿! 緊急事態くらい友達に頼りなさいよ』